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花の丘公園発 知っとく!!花通信(21号~30号)

[2015年12月28日]

いんザイ君読書


北総花の丘公園緑の相談員さんから、いんザイ君が教わった花の情報を「いんざい花だより」を見に来てくれたみなさんにも教えちゃいます。

No.30ホトトギスとゴンズイ

公園の林縁にはホトトギスという野草が花時を迎えています。ユリ科ホトトギス属の植物で地味な色彩で目立ちませんが、秋を感じさせてくれる草花として古くから栽培されてきた花でもあります。この辺りの林縁や明るい雑木林の下などでは比較的良く見られる植物なので、探してみるのも楽しみです。

ホトトギスという名前は、「ホトトギス」という鳥の胸の模様に花の斑点模様が似ているからと、なぞらえて名づけられました。鳥の胸の模様とは少し違うように感じますが、主観の問題なのかもしれません。

この「ホトトギス」の鳴き声も、公園ではバラが花盛りとなる頃、林の向こうから聞こえてきますが、「テッペンタケタカ」とか「トッキョキョカキョク」と聞こえると野鳥図鑑を見ると解説されています。しかし、鳴き声を聞くと「特許許可局」と、どうしても聞こえてしまいます。

ホトトギスには、いくつかの種類があり、我が国を中心に山地や林のやや湿った場所に自生している多年草です。下垂性のホトトギスが山や渓谷の水が近くにある場所に自生していますが、蒸し暑さや直射日光に弱く、この辺りでは育てにくい種類です。最近では、タイワンホトトギスと交配した品種など、強健で育てやすい系統も流通しています。

ゴンズイの赤い果皮がはじけ、黒い光沢のある種子が美しく秋の陽に映えています。ゴンズイは雑木林で良く見られるミツバウツギ科ゴンズイ属の常緑性の中低木で、公園にもあちこちに自生しています。鳥が種子を蒔き散らし、増えていったようです。

ゴンズイという名前は、海にいる毒がある魚の「ゴンズイ」に見立てて名づけられたという説が有力の様で、その意味は「役に立たない魚」になぞらえ「役に立たない木」と言われています。ゴンズイには、何の罪もないのですが、野に咲く可愛い草にも似つかわしくない名前を頂戴したものがいくつかあります。「ヘクソカズラ」「ママコノシリヌグイ」「オオイヌノフグリ」などが御三家に挙げられるのではと思います。

ヘクソカズラ」は人家や藪のあちこちに普通に見られるアカネ科ヤイトバナ属の多年生つる植物です。小さな釣鐘状の花は中心が赤く、夏から秋にかけ咲いています。小花はきれいなのですが、葉や実をつぶすと、とても嫌な臭いがするので、名づけられた気の毒な植物です。

ママコノシリヌグイ」は「継子の尻を拭く」という意味で、草を触ったことがある方は、尻を拭かれた継子の悲しさがわかるのではと思われます。タデ科イヌタデ属の植物で、別名「トゲソバ」とも言われています。葉や茎に小さな棘がたくさんあり、触ると刺さって痛いので、悪意を持って付けられた名前なのかもしれないと、つい思ってしまいます。花は淡紅色の小さな花がコンペイトウの様に集まっていて、とても可愛らしいものです。林縁や道端の、やや湿った場所に生えています。

オオイヌノフグリ」はゴマノハグサ科クワガタソウ属の一年草で、早春の田舎道や畦道で春を告げる小さな澄んだ水色の花を次から次とたくさん咲かせます。「ベロニカ・オクスフォードブルー」という名前で流通している、紺青色の小花を咲かせる植物と同じ仲間です。

明治の時代に、ヨーロッパから渡来し各地に広がり、すっかり里山の春の花に欠かせない存在となりました。

名前の由来は、中央がくびれた果実の形から名づけられました。漢字で記すと「大犬の陰嚢」となります。

ホトトギス(左) ホトトギス新葉(右)

ホトトギス(左) ホトトギス新葉(右)

ゴンズイ実(左) ゴンズイ赤実(右)

ゴンズイ実(左) ゴンズイ赤実(右)

オオイヌノフグリ(左) ヘクソカズラ花(右)

オオイヌノフグリ(左) ヘクソカズラ花(右)

No.29シュウメイギク

秋風を感じるころになると、公園の景色もいつの間にか秋色に変わっています。まだ夏の花も元気ですが、9月になるとシュウメイギクが咲き始めます。シュウメイギクは漢字で書くと「秋明菊」と記しますが、キクの仲間ではありません。秋に咲き、花の姿がキク似ているので名づけられたようです。

シュウメイギクは、春に咲くフクジュソウやアネモネ、クリスマスローズ(ヘレボラス)と同じキンポウゲ科の植物でアネモネの仲間です。学名ではAnemone hupehensis var. japonica と表記します。Japonicaは日本産のという意味ですが、古い時代に中国から渡来した植物で、京都の貴船山で野生化していたので名づけられました。別名「貴船菊」とも呼ばれています。現在では本州や四国、九州の人が住む近くの野山に見られます。

本来は白い色の一重の花で、花弁と見えるのは萼片で、キンポウゲ科の花の特徴です。現在では、白い花だけでなく、桃色や赤紫といった濃い色のもの、また八重咲きの花もあります。さらに、草丈が短く鉢植えに適した品種も育種され、花壇のいろいろな場所に植えられる秋の花となりました。

現在名前がついて出回っている品種は、本来のシュウメイギクではなく、タイワンシュウメイギク【Anemone vitifolia】との交雑種で、主にヨーロッパで育種されたものが多くなっています。

花の姿から和風にも洋風にも合い、またいろいろな品種が出回るようになってきましたので、見直したいお花の一つと言えます。アネモネの仲間は高温多湿に弱いものが多いのですが、シュウメイギクは日本の亜熱帯の夏に耐えられる耐寒性の宿根草で、多少湿った所で、あまり太陽が照りつけない場所が適しています。野山では、林縁の水路の周辺などにみられるので、里山の植物の風情が感じられます。植え替えは3月か花後が適しており、根からも芽が出るので、植え替え時期に根伏せで増やすのは簡単です。また種子ができるものは、種子でも増やすことができますが、園芸品種の種子からは、親と同じ花が咲くとは限りません。

シュウメイギク白花(左) シュウメイギク赤花(右)

シュウメイギク白花(左) シュウメイギク赤花(右)

アネモネ

アネモネ

No.28ノアサガオと西洋アサガオ

真夏の朝に咲く朝顔を見ると、子どもの頃を懐かしく思い出します。近所では、どこでも普通にみられた花でしたが、最近目につくことが少なくなったように感じます。それに引き替え、グリーンカーテンの素材として、いろいろなアサガオの種類が出回るようになっています。ホームセンターを覗くと、「オーシャンブルー」、「クリスタルブルー」また「ヘヴンリーブルー」とかしゃれた名前で売られているアサガオが増えました。子どもの頃、夏休みの宿題に育て観察したアサガオ(Ipomoea  nil)は、短日植物[夜の暗闇が長くなると、花芽を創る性質]で、ヒルガオ科サツマイモ属のツル性一年草です。1952年京都大学の探検隊がネパール高原で、この淡青色に咲く自生種を発見したと報道されていますが、アサガオ博士の米田芳秋先生の研究によると熱帯アメリカが原産地のようです。

 私たちの祖先は、江戸時代に園芸文化の華を咲かせ、品種改良された植物のサクラ、ツバキ、ツツジ、モミジ、サクラソウ、ハナショウブ、ナデシコ、キクとともにアサガオも現代に引き継がれてきました。アサガオは江戸期に2回のブームがあり、1回目が文化・文政期(1804-1830年)で、さまざまの色や花型のアサガオが創られ、楽しまれていました。つづいて嘉永・安政期(1848-1860年)で、この頃に変化アサガオが急激な発展をとげ、下級武士の間では利殖用に盛んに朝顔が栽培されていました。変化アサガオは種子ができないものが多かったのですが、違った花同士の組み合わせから種子を作り、目的の変化アサガオを創る知識を体得していたようです。1865年にメンデルが遺伝の法則を発表したので、それ以前に目的の花型の朝顔を作ることができたほど江戸の園芸の文化は進んでいたといえます。

そして、武士のアサガオ栽培の副業が、現在の東京入谷鬼子母神の朝顔市につながっているようです。

 朝顔は奈良時代末期に、その種子が薬用として中国から渡来し、現在でも日本薬局方に牽牛子(ケンゴシ)として記載されており、ファルビチンという薬となる成分が含まれ、粉末にして緩下剤、利尿剤として用いられますが、毒性が強いので素人が用いるのは危険です。

 「ヘヴンリーブルー」は熱帯アメリカ原産のセイヨウアサガオ(Ipomoea  tricolor)で、ツルや葉はサツマイモに似ていて、開花が秋になります。和名は「ソライロアサガオ」と言い、アサガオと比べツルの生長が旺盛で、9月の上旬頃にやっと花を咲かせる晩生の種です。透明なブルーが目を引き、見た人を魅了するようで、多くの人に知られることとなりました。

一方「琉球アサガオ」とか「オーシャンブルー」、あるいは「宿根アサガオ」という名称で販売されているアサガオはノアサガオ(Ipomoea  indica)で、我が国の和歌山県の海岸辺りから南の地域、沖縄、小笠原、東南アジアなどに自生しており、4月から12月に赤紫の花を付けます。種子は作らず10月上旬頃にもっとも花の数が多くなり、ツルの伸長も盛んです。自生している地域では雑草化し、手におえないほど繁茂する様です。

 道端や荒れ地にもたまに見ることができるアサガオがあります。熱帯アメリカ原産のマルバアサガオ(Ipomoea  purpurea)で、白、淡紅、紫紅、青紫といろいろの花色があり、関東より南の地域に帰化している一日中咲いている一年草のアサガオです。わが国では宝永年間(1704-1711年)に観賞用としての栽培記録が残っております。

種が違うアサガオの間では種子が出来にくいのですが、最近前記の米田博士がアサガオとマルバアサガオの交配に成功し、従来にない新しい花模様のアサガオが誕生し、「曜白(ようじろ)アサガオ」の名前で販売されています。家庭で鉢植えの朝顔を長い期間大きな花をたくさん咲かせるには、一週間に2回ほど、水やり代わりに液体肥料を十分に施してください。

 公園では、毎年「ヘヴンリーブルー」と「ノアサガオ」を栽培しており、今年も花をたくさんつけることでしょう。いずれの種も夏が終わるころが花の見ごろとなり、暑さのピークを過ぎた頃に夏の名残花の風情が楽しめます。

ノアサガオ’ちゅら海青’(左)アサガオの近縁種ルコウソウ(右)

ノアサガオ’ちゅら海青’(左)アサガオの近縁種ルコウソウ(右)

ベヴンリーブルー

ベヴンリーブルー

No.27アガパンサスとユリの花

梅雨の曇空の下で青色の花がさわやかに見える季節になりました。公園ではアジサイが盛りとなっていますが、プラザ入口周辺にはアガパンサスの青色の花が見ごろとなります。

アガパンサスは、以前はユリの仲間に分類されていましたが、最近遺伝子解析の技術が進歩して、DNAを調べ再分類されムラサキクンシラン科アガパンサス属に分けられました。

原生地は南アフリカで、アガパンサスの原種は10-20種ほど知られていますが、その中のアガパンサス・プラエコクスの亜種オリエンタリスを親にした園芸品種が数多く出回っています。丈は30センチメートル位から1m以上まで、また花色も青、薄青、青紫、白といろいろな品種があります。公園には大型の品種が植栽されており、花どきには青い花の帯の中をさわやかな風が吹き抜けます。

アガパンサスという名前は、ギリシャ語の「アガペ」愛という意味の語と「アンサス、アントス」花という意味の語の合わさったもので、「愛の花」という意味です。

寒さには比較的強く、耐寒性が強い品種は防寒対策をせずに越冬できます。日当たりが大好きなので、木の陰になったりすると、途端に花をつけなくなります。植え替えと株分けは春と秋が適期となりますが、株分けを兼ねるときは4月から5月頃が良いでしょう。

 

ユリの仲間は世界に115種の野生種が知られていますが、日本には15種が自生しており、いずれの種も観賞価値が高いユリで、その中のヤマユリが1873年のウィーン万博で注目されヨーロッパなどに園芸用として球根が大量に輸出されました。

その後ヨーロッパでユリの改良が進み、日本の自生種のヤマユリ、タモトユリやカノコユリなどを交配してつくられた品種群をオリエンタルユリと呼ぶようになりました。オリエンタルユリは、半日陰を好み、大輪の漏斗状の優雅な花姿をしており強い香りを持っています。皆に良く知られている「カサブランカ」がありますが、家庭で育てるにはヤマユリよりも丈夫で、毎年立派な花を咲かせ香りを漂わせます。

ユリの栽培はそれほど難しくなく、鉢植えでも数年植え替えなしで栽培できます。植え替適期は茎葉が枯れた11月頃で、掘り出したら球根の根は切らず、また乾かさないように注意し、すぐに植え付けます。オリエンタルユリもスカシユリ、テッポウユリも深めの鉢に深植えにして、年間水を切らさないように管理します。置き場所は、オリエンタルユリは半日陰に、スカシユリ、テッポウユリは日当たりが良い場所に置き、花後は咲きがらをつまみ取り、茎葉は残すようにします。そして化成肥料の追肥を鉢の大きさに応じて小さじ1~3杯施します。ユリ類はウイルス病に弱いので、バラなどアブラムシが付きやすい植物のそばには、植えたり、鉢を置いたりしないことが大切です。しかし、よく畑の縁などで真夏にオレンジの花を付けるオニユリだけは極めて丈夫でたくましいユリですので、他のユリのように神経質になる必要はありません。

アガパンサス

アガパンサス

ヤマユリ(左)オリエンタルユリ黄(中)オリエンタルユリ白(右)

ヤマユリ(左)オリエンタルユリ黄(中)オリエンタルユリ白(右)

No.26ジュンベリーと梅の実

ジュンベリーという名前の木は人気があります。庭のシンボルツリーや小鳥を呼ぶ木として植えられています。和名はアメリカザイフリボクと言い、バラ科ザイフリボク属 [Amelanchier  canadensis] の落葉低木です。4月に白い小さな花を枝いっぱいに咲かせ、遠くから見るとまるで綿菓子のように見えます。

ジユンベリーとして流通している木には、高くならない性質のものや大きな実が付くもの、葉が紅葉するものなど、いくつかの品種が見られますが、それらはアメリカザイフリボクのほか、アメリカザイフリボクと日本に自生しているザイフリボクなどとの交雑種で、アメリカやヨーロッパでは庭木として良く使われているそうです。

いずれの品種も花が終わると実が付き、最初は赤く色づいてきますが熟すと次第に黒い実となり、食べられます。甘く癖がない果実が収穫できますが、熟すと落果しやすくなりますので、ジャムなどにする場合は採り時期を逃さないように注意してください。小鳥もこの実が好きなようで、ヒヨドリなどが食べに来ます。

日当たりが良い場所に植えるのが基本ですが、若干日陰になる場所でも大丈夫です。寒さには強いのですが、乾燥には弱く、西日が強く当たる場所には適しません。秋になると葉が黄色に色づき、きれいな姿となり、春の白い花、初夏の甘い果実と、季節ごとに三度楽しめる重宝な木といえます。

 

6月といえば梅の実が熟す頃となります。品種により熟す時期が若干ずれますが、下旬頃までには熟して大方の実は落果してしまいます。サクラ属の未熟果実には毒があり、未熟な梅の実(一般的には青ウメと呼ばれています)や公園などにあるサクラの未熟な実に含まれています。青酸(シアン化水素)を発生させる配糖体化合物(アミグダリン)が含まれており、胃酸と反応してシアン化水素を発生させ中毒を起こします。子どもが青ウメを食べて中毒を起こす事件がたまに報道されます。またサクラの未熟果実にも毒があり、ヒヨドリがサクラの木の周辺に数羽死んでいたと報道されることもありました。

人が利用する梅の実は、毒の心配がいらなくなった時期に収穫した果実で、緑が濃くても店で販売されているものは心配いりません。梅酒に使うのは緑の残った果実を利用していますが、木に付いた状態で黄色に色づき熟した果実を使うとおいしい梅酒ができるようです。梅干しにも梅酒にも熟した果実が適しているのかもしれません。

ウメ・熟実(左)梅園(右)

ウメ・熟実(左)梅園(右)

ジュンベリー・黒実(左)ジュンベリー・白花(右)

ジュンベリー・黒実(左)ジュンベリー・白花(右)

No.25エゴノキとタニウツギ

 この辺りの雑木林でも良く見られるエゴノキが公園ではあちこちに植えられており、5月中旬には小さな白い花を枝いっぱい咲かせます。花時には垂れ下がって咲いている花で、木が白く見える程になります。また、小さな白い花には可憐な美しさがあり、ナデシコにも似た上品な香りがかすかに漂います。

 エゴノキはエゴノキ科エゴノキ属の落葉高木ですが、それほど大木にはならず、株立ちになりやすく、庭木に人気があり良く植えられています。どのような土壌でも育ちますが、乾燥には弱いようで、夏に土が乾きすぎると翌年の花数が少なくなったり、枝が枯れこんだりすることがあります。そのような症状が出たら、根が張っている辺りに堆肥を数年続けてすき込み、水持ちが良くなるよう土壌改良をすると良いでしょう。

 庭に植える場合は、木がある程度大きくなっても差支えがない場所を選び、毎年の剪定はせず、自然樹形に仕立てるとよい木です。枝が込みすぎてきたら何年かに1回、内側に交差した枝、重なった枝など不要な枝を切る位で十分です。

 花が終わると可愛らしい薄緑色の実をたくさんぶら下げます。実には有毒のエゴサポニンが含まれており、すりつぶした実を昔は洗濯石鹸の代わりに、また麻酔作用を利用し魚捕りに使ったようです。秋になり焦げ茶色の種子が落ちると、それを子どもの遊び道具やアクセサリーの材料として利用していました。

 公園にはエゴノキの仲間で、よく似た花と実をつけるハクウンボクがいくつか植栽されています。花は白フジのように房状にかたまり、咲きます。葉もエゴノキとは違って、長さ10-20センチメートル位の円形で、裏面に毛が密生して白っぽく見えます。

 エゴノキもハクウンボクも種子から増やしますが、いずれも芽生えてから5年くらいで花を咲かせます。

 

 公園では5月になるとウツギの仲間があちこちで花を咲かせますが、中でも多い木はタニウツギです。株立ちとなった枝の上部に群れ咲く淡紅色の花が随所で見られます。本来は日本海沿岸の日当たりが良い山地に自生している木ですが、花が美しいので公園や庭によく植えられています。よく似た樹形で、白と赤のタニウツギに似た形の花が混じって咲いている木がありますが、それはハコネウツギです。この木は太平洋沿岸の山地にも自生しており、花の色が白から赤に変わっていくのが特徴です。

 どちらの木もスイカズラ科タニウツギ属の落葉低木で、少し湿り気がある土壌が好きですが、乾燥にも耐えられます。生長が早いので、長くなった枝を切り戻し、また数年たち古くなった枝を根もとで切り、更新して樹形を整えていくのが適しています。ただし、今年伸びた枝先に花芽がつくので、冬の剪定で花芽がある枝先を切りすぎないよう注意してください。

エゴノキ

エゴノキ

ハコネウツギ(左)ハクウンボク(中)タニウツギ(右)

ハコネウツギ(左)ハクウンボク(中)タニウツギ(右)

No.24 木々の花とコブシの花

染井吉野サクラが咲き始めると、雑木林の木々の芽も急に膨らみ始めます。公園には、以前里山だった雑木林が周辺に多く残されていますので、芽吹きから新緑の1ケ月間は、めくるめく木々の色が変わりゆく景色が楽しめます。特に雑木林の主力となっているコナラクヌギイヌシデなどの芽だしからの新葉の微妙に色彩を日々変化させていく姿はとても美しく、その中にコブシの白い花が咲き、ヤマザクラが遅れて彩を添え、春の目覚めを感じる瞬間です。

 雑木林の木々の多くは、コブシやヤマザクラのように美しく目立つ花は咲かせません。しかし、よく見ると枝の先からぶら下がった無数の花をつけている姿が目につきます。それらは雄花序(ユウカジョ)という雄の花で、実をつける雌花の雌花序(シカジョ)は枝先のところに目立たなく付いています。

 コブシは3月下旬ころから咲き始めますが、個体によって咲く時期が少しずつずれるようで、もう少し早く咲き始める木があるかと思うと4月中旬頃に花が咲いている木も見ることができます。またサクラと同様に咲き始める時期は、冬から春先の気温の変化で変わり、3月が寒い年は4月になっても多くの木々で白い花が見られますが、ちょうど春の嵐となる頃と重なり、大風の後はかわいそうな姿となってしまいます。せめて、花の盛りを過ぎるまで嵐が来ないことを祈るばかりです。

 コブシの花の特徴は花の下に1枚の若葉がついて、可愛らしい風情をしています。日本にはコブシの仲間で同じ時期に、コブシと同様な花を咲かせる「タムシバ」がありますが、コブシのように花の下に若葉はつけません。また同じ仲間で「シデコブシ」がありますが、花弁の数が多く、コブシが6枚に対して倍以上あり、自生している地域も愛知県、岐阜県、三重県の一部に限られ希少種として扱われています。

 コブシは花だけでなく、秋になると色づいた実も楽しめます。少々変な形をしてアケビにこぶができたような紅をさした実を枝にぶら下げ、秋も深まると裂けた実から赤い種子がこぼれだします。

イヌシデ(左)とコナラ(右)

イヌシデ(左)とコナラ(右)

コブシ(右端はコブシの実)

コブシ(右端はコブシの実)

No.23 パンジー

わたくしたちが栽培しているパンジーは、ヨーロッパから西アジアに自生するスミレのトリコロル(Viola tricolor)という原種をもとに1813年イギリスで改良が始まり、その後他のスミレのルテア(V. lutea)やコルヌタ(V. cornuta)などの原種と交雑されて誕生しました。現在でもいろいろな花型や色彩、花の中心部分の模様の変化など今までにないパンジーを創る努力がされています。そして、プロのみでなくパンジー好きなアマチュアなどいろいろな育種家の手により毎年多くの品種が誕生しています。

 園芸店やホームセンター、またカタログなどでもパンジーとビオラと区別して扱われていますが、両者は種としての違いはなく植物の分類では一つです。わたくしたちは便宜的に花径が3センチメートル以上をパンジー、3センチメートル未満をビオラと区別して呼んでいます。

 だいぶ以前は春咲きの品種が主流を占めていましたが、現在では秋から春まで咲く品種が多くなっています。また、色彩や花型も豊富に出回り、10月にもなると園芸店やホームセンターの売り場にはさまざまなポット苗が並びます。しかし、10月頃は暑い時期に無理をして育てた苗なので、しまった丈夫そうな苗は見当たりません。家庭の庭やプランターに植えるには、10月はまだ真夏なような気温が上旬頃まで続くことがあります。ひ弱な苗では暑さで徒長し、弱っているので冬の寒さでいじけて枯れてしまうことも起きかねません。

パンジーは暑さや蒸れに弱い植物なので、10月下旬から11月になってから、間伸びしていないしっかりした苗を植えるのが無難です。パンジー、ビオラには良い香りがする品種や株があります。売り場で選ぶとき、色彩や花型だけでなく、是非お花に鼻を近づけ香りを調べて選ぶのも楽しみとなります。

オレンジの中輪の花をつける「パハラジャ」という春咲きのパンジーが今でも種子が販売されていますが、色彩とともに香りの素晴らしさで人気がありました。その血が入っているのか定かではありませんが、オレンジ色の花には香りが良いものが多いように感じます。

暖かさが増すごとに、パンジー、ビオラはたくさんの花を咲かせます。長く花を楽しむのには、種子をつけないように、こまめに花がらをとり、月に1回粒状の化成肥料を株の周りに施してください。プランターでは、さらに1週間に1回ぐらいの割合で液体肥料を施すと元気に咲き続けます。また、このころアブラムシが急激に増え、株全体にたかることがありますので、見つけたら早めに殺虫剤で消毒をすることを勧めます。

パンジー、ビオラは公園でも定番のお花として花壇やプランター、ハンギングバスケットにと重宝しています。桜が咲くころにパンジー、ビオラも花盛りとなります。

ところで、日本の山野にはスミレの仲間がたくさん自生しています。約50種以上あるといわれていますが、公園にも数種が見られ、中でもタチツボスミレがたくさん自生しており、所々で群落をつくっています。まだ木々の芽吹くまえ、桜の咲くころ、陽だまりに薄紫のジュータンが敷き詰められたように咲く日本のスミレに、パンジーやビオラとは違った美しさが見られます。

タチツボスミレ群落とパンジー虹の花壇

タチツボスミレ群落(左)とパンジー虹の花壇(右)

ハンギングバスケット・ブルーパンジー

ハンギングバスケット(右はブルーパンジー)

No.22 クリスマスローズ

 寒さが厳しい日が続いていますが、公園ではロウバイが盛りとなり良い香りを辺りに漂わせています。陽だまりの草(くさ)叢(むら)に小さな水色の花をつけるオオイヌノフグリが見られる季節になりました。確実に季節は廻っているようで、2月に入ると厳寒の庭でも気が付くとクリスマスローズの花が咲きだします。

 クリスマスローズはこの10年で時代の寵児(ちょうじ)となりましたが、もともとヨーロッパ原産の目立たない野草で、庭園の樹木や石の根締め(ねじめ)としてごくわずかに利用されていたようです。

 私たちはクリスマスローズと呼んでいますが、東ヨーロッパを中心として東はトルコから西のイギリス地域まで広く自生している、現在20種に分類されている原種および、それらの交雑種を総称して使われている名前で、Helleborus属(ヘレボラス属)の植物です。そして、その原種の一つH.niger(ニゲル)がちょうどクリスマスのころに白い清楚な花を咲かせますので「クリスマスローズ」と呼ばれるようになったもので、英国で「クリスマスローズ」と言った場合原種のニゲルを指します。

 20世紀に入り、英国で花の育種家を夫に持つヘレン・バラード夫人が60歳になってからヘレボラスの魅力に取りつかれ、精力的に花の改良に取り組み、現在ある大輪で丸型、鮮明な色のクリスマスローズ群を創りあげました。現在のクリスマスローズの品種群はいろいろな原種や園芸品種の交配を重ね誕生していますので、名称を改めHelleborus ×hybridus「ヘレボラス・ヒブリダス(またはハイブリダス)」とするよう統一されるようになりました。

 ヘレボラス・ヒブリダスは「ヘレボラス属交雑種」という意味で、販売されている苗のほとんどが種子を蒔いたもので毎年新しい交雑種が誕生し、今までにない花姿や鮮やかな花色、八重の花型などが豊富に出回り、手軽に購入できるようになりました。

 ヘレボラス属はキンポウゲ科に属する多年生植物で、秋に目覚め生育のスタートを切り冬から春に花を咲かせ夏になると活動が緩やかになります。日本に自生しているフクジュソウ、ユキワリソウ、セツブンソウなども同じ科の同じ生育タイプの仲間で、自生している環境も多くのヘレボラスの原種と似ています。花は、花弁と見られるのは萼片で、キンポウゲ科の花の特徴となっています。

 現在流通しているヘレボラス属交雑種の元となっている原種は、温帯の落葉広葉樹林の林床や林縁、草原などに自生していますので、この辺りの夏の蒸し暑さは少々苦手です。庭に植える場合は、冬によく日が当たり、初夏から秋まで木漏れ日が当たり、風通しが良く涼しい場所が適しています。

 2月から3月が花の見ごろとなる植物として、洋ランと並び冬の楽しみの花にもってこいで、あちこちで展示即売会が予定されています。公園のBゾーンにあるバラ園の周辺に植栽されており、そろそろ花が見られる頃となりますが、鉢植えのヘレボラス属交雑種は一足早く花を開いており、プラザ内に展示されています。

2月掲載写真
           ヘレボラス                   ヘレボラス・濃赤八重
2月掲載写真
           フクジュソウ                      ユキワリソウ

No.21 カトレア

 カトレアの花が多くの人を引き付ける魅力は、他の花と異なる花形、花の色の美しさとともにふくよかな甘い香りではないでしょうか。寒さが厳しくなるとともに公園ではいろいろなカトレアが花を咲かせます。一般的にカトレアと呼ばれる洋ランは、カトレア属、レリア属、ブラサボラ属などの属間の交配で生まれた種を指しています。当然カトレア属の中に多くの種(原種)があり、それらの種間でも交配がされており、属間、種間とも毎年たくさんの新しいカトレアが誕生しています。

 前回記したシクラメンは20種程の原種があり、それらの種間では交配が難しく種子ができませんでしたが、ラン科植物は種が違っているだけでなく、属が違っていても種子ができて新しい植物が生まれます。人工的に交配されて育った属間交配種には新しい属名が付けられています。一例をあげると、ラベルに略号でBlc.と記されているカトレアは「ブラソレリアカトレア属」と呼び、ブラサボラ属、レリア属、カトレア属との交配で生まれたものです。

 交配に使われてきた原種の多くは、中南米の熱帯地方の高地の木々や岩に着生しており、日当たりと湿度、それに風が大好きです。日当たりといっても、熱帯高地では昼ごろになると雲がわいてきて霧がかかる様な場所なので、日本で育てるには季節により適度な遮光が必要です。室内では、いわゆるカーテン越しの日光となります。また生えている地帯の気温は20℃前後で、冬の夜間では5℃以下になることも珍しくありません。夏も、この辺りの真夏とは違い25℃以上になることはめったにありません。

 カトレアの開花は、いろいろな原種の血を引き継いでいるので、種類により夏から秋、冬、春と長い期間にわたります。しかし、多くのカトレアは冬から春に咲き、園芸店やホームセンターに並び、この時期洋ランの展示即売会が各地で開催されます。

公園のプラザ内にも熱帯の観葉植物やヤシ類とともに洋ランコーナーを設け、秋から初夏までカトレアをはじめシンビジュウム、オンシジュウム、デンドロビュウム、パフェオベディラムといったさまざまなランを飾っています。中でもカトレアは種類が多く、長い期間いろいろな花や香りが楽しめます。

 家庭でカトレアを育てる場合、冬の室内での管理がポイントとなります。夜間の最低温度が10℃保てれば問題ありません。11月以降急激に湿度が低くなります。特に青空で北西の季節風が吹く日はカラカラになりますので、たえず霧吹きをして湿度をたかめます。蕾が開き始めている株は湿度を保つように注してください。乾きすぎて、日中25℃以上の高温にさらされると、せっかく伸びてきた蕾が黄色くなり枯れてしまうことがあります。

 小型のフレームに入れてある場合は、日中の高温にさらさないよう風を通し、温度の格差が大きくならないように注意します。また蕾が伸びて大きくなる時は、意外と水分が必要ですので、水を切らさないように、暖かな日中に適度に施します。

1月掲載写真

    カトレア・ボーリンギアナ セルレア         カトレア濃赤紫             カトレア・黄花

1月掲載写真
             カトレア・紫桃                      洋ラン 展示

 

(記事・写真提供:千葉県立北総花の丘公園 緑の相談員 吉村 孝 氏)

千葉県立北総花の丘公園の紹介

千葉県立北総花の丘公園の風景

(千葉県立北総花の丘公園の風景)

千葉県立北総花の丘公園花と緑の文化館緑の相談所
相談日:火曜日、金曜日、日曜日 午前10時0分~正午・午後1時0分~午後4時0分
電話:0476-47-4031

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