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木造毘沙門天及び両脇侍立像[県指定有形文化財(彫刻)]

[2024年8月20日]

ID:5010

木造毘沙門天及び両脇侍立像(3躯)

木造毘沙門天及び両脇侍立像

 中尊に毘沙門天(びしゃもんてん)立像、脇侍に吉祥天(きっしょうてん)立像と善膩師童子(ぜんにしどうじ)立像の3軀で構成される三尊像です。三尊とも彫眼で、カヤと思われる針葉樹材を用い、構造は毘沙門天と吉祥天は割矧(わりはぎ)造り、善膩師童子は寄木(よせぎ)造りです。像高は毘沙門天が155センチメートル、吉祥天が101センチメートル、善膩師童子が95センチメートルを測ります。表面に砥の粉が塗られていますが、造像時は彩色が施されていたようです。

 毘沙門天像と吉祥天像には胎内に墨書銘があり、鎌倉時代の正応二年(1289)に尼僧の法蓮(ほうれん)と僧の明観(みょうかん)の発願により仏師の賢光(けんこう)が造像したことなどが判明しています。

 それぞれの形状は、毘沙門天は邪鬼の上に立ち右手を腰に当て左手に戟を執とり憤怒の形相で正面を見据えています。吉祥天は方座の上に立ち唐服をまとい頭部に花弁形の宝冠を載せています。善膩師童子は方座の上に立ち美豆良を結い上半身を少し左に向け、口を開いた笑顔を見せています。

造像を手がけた賢光は13世紀後半に活躍し、千葉県内に8件の作例があります。そのうち、印西市内には本件を含め4件の作例が確認されています。

本文化財は、鎌倉時代仏像彫刻の特徴である写実性をよく表している作例といえます。

 毎年7月最終土曜日に開帳されます。

 

【所在地】松崎396(多聞院) 【指定年月日】昭和29年(1954)

3月31日

言葉の説明

毘沙門天(びしゃもんてん):仏法守護の神の一人。四天王で北方を守る多聞天と同じ。財宝を施す神として施財天ともいわれる。七福神の一人。

吉祥天(きっしょうてん):福徳を授ける仏教守護の女神。毘沙門天の妻とされる。

善膩師童子(ぜんにしどうじ):毘沙門天と吉祥天との子。

割矧ぎ造り(わりはぎづくり):一木で造った像の頭と体幹部などを、前後、左右、首などでいったん割り離し内刳りを施してから再び寄せる技法。

(注意)内刳り(うちぐり):木彫像の胎内を鑿で抉り抜いて空洞にする技法。

寄木造り(よせぎづくり):頭部・胴身部からなる主要部を二材以上の木を寄せ合わせて造る技法。

砥の粉(とのこ):木材の着色、塗料の下地に用いられた粉。砥石を切り出すときに出る粉末、または黄土を焼いて作る。

発願(ほつがん):誓願を起こすこと。悟りを求める心や、人々を救おうという心を起こすこと。

仏師(ぶっし):仏像の製作・装飾・修理にたずさわる作家

邪鬼(じゃき):たたりをする神。または物の怪。

戟(げき):ほこ(矛・両刃の剣に柄を付けた刺突のための武器)の一種。刃が股になっているもの。

方座(ほうざ):方形の台座

美豆良(みずら):髪を頭の中央から左右に分け、両耳の辺りで先を輪にして緒で結んだ髪型。

お問い合わせ

印西市役所教育委員会 教育部生涯学習課文化係

電話: 0476-33-4714

ファクス: 0476-42-0033

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